かつて植物のオーラの観察に用いられたキルリアン写真の実験を行った。
キルリアン写真とは、対象物に高周波・高電圧をかけて発生させたコロナ放電による発光現象、
すなわち対象物から発散する水蒸気の電離・発光現象をフィルムや印画紙に感光させたものである。
カメラやレンズを使用せずに対象物を写すことと、その魅惑的なイメージの力によって神秘的な意味でのオーラという
言葉が定着したが、実際には対象物の厚みや水分量、実験環境等の差異によって得られるイメージが変化する。
そこには視覚的な写実性とは別の物質的な写実性があり、作業の痕跡が記録されるのである。
この作品では、キルリアン写真の作家たちがおそらく失敗と見なしてきたであろう画像を選んで見せている。
極めて人為的に作られた自然の形象としてのキルリアン写真。その失敗によりできた不完全な自然のイメージに眼を向ける事で自然物と人工物との交点を探る。